『二百十日・野分』


尊敬する方から薦められて読んでみました。


印象的だった一節があります。

「一般の人は労力と金の関係について大なる誤謬を有している。


 彼等は相応の学問をすれば相応の金がとれる見込みのあるものだと思う。

 そんな条理は成立する訳がない。


 学問は金に遠ざかる器械である。

 金が欲しければ金を目的にする実業家とか商売人になればいい。

 学者と町人とはまるで別途の人間であって、(略)学問即ち物の理が

 分かるということと生活の自由即ち金があるということとは独立している。


 それを心得んで金のある所には理屈もあると考えているのは愚の極である。

 しかも世間一般はそう誤謬している。(略)


 社会上の地位は何できまるかと云えば色々ある。

 第一カルチャーで決まる場合もある。門閥もある。芸能もある。金もある。


 かように色々相場があるのを混同して金で相場が決まった男と相互に

 通用し得るように考えている。ほとんど盲目同然である。」

大学までは、「お金」という軸で世の中をみることができなくて、

とくに自分は高校・大学の偏差値という画一化した軸が存在する世界の中で

生きていたように思う。

単一化した世界にいれば、盲目的に高みを目指していられるからある意味で楽だったのかもしれない。

でも社会に出たらどうだろう?新しい軸として「お金」が出てきた。

・お金持ちになりたい?

・教養人としての成長を目指したい?

・専門的な何かを身につけたい?

いろんな軸が登場し、価値観は多様化し、マスコミから煽動され、

何を信じればいいのか、自分が何を大切にしたいのか、

分からなくなって混乱したように思う。

もちろん全部を満たすことができれば素晴らしいのだろうけれど、

人生は有限だし、自分が大切にしたい揺ぎ無い価値観を構築していく必要がある。

ただ、私の場合確固とした軸があるというよりは、

いくつかの価値観を抱えていて、それらは時に矛盾するし、時に優先順位が変わる。

なので主人公のように自らを貫き通すという行為は

本当にすごいことなのだと驚いてしまう。

稚拙な感想文になってしまったけれどまたいつか読み直したい本だし

社会人になった人にはオススメの一冊♪

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